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 結婚できない女たち  - Repo - vol.9〜11  …by安藤房子
■ 派遣 沙耶香の場合:別れた彼以外の人じゃ嫌なの (1)


「なんで浩二と結婚しなかったんだろう…って、別れて3年経った今でも思うんです。でも、私と浩二は長いこと同棲していて、セックスレスでした。お互いに外にセックスの相手を作っちゃって、お互いにそれがばれちゃった。だから、あの時は別れるしかなかったんです」

派遣社員として、大手メーカーで営業事務をしている沙耶香さんは今年31歳。今の恋人である裕司さんは、同じ職場の5歳年上の営業マンである。裕司さんは、沙耶香さんとの不倫が奥さんにバレてしまい、つい最近、沙耶香さんのマンションの近くにひとりで引っ越してきた。

彼は、いずれ沙耶香さんと一緒に暮らしたいそうだが、とうの沙耶香さんには、まったくその気はない。かつての同棲相手である浩二さんのことが、今も脳裏にやきついて離れないからである。

沙耶香さんが浩二さんとであったのは、彼女がマスコミ関係の専門学校1年生の時のことだった。女友達とたまたま出かけた新宿のバーで、浩二さんが声をかけてきたのである。いつもはバーで声をかけてくる男など無視していたのだが、その日はなぜか違っていた。

「恋人もいたんです。でも、ちょっとでも帰りが遅くなって電話に出ないと激怒するような、女を束縛したがるクソマジメな恋人にうんざりしていたんです。それに、浩二は目元がハッキリしていて、すごくかっこよく感じたのね。遊びなれている感じにもひかれたのかも。会ったばかりなのに、ホテルに泊まっちゃったんです」

新宿のホテルで配膳の仕事をしているという浩二さんは、結婚式の舞台裏をおもしろおかしく話してくれた。沙耶香さんは、あっという間に浩二さんにひかれていった。でも、朝をむかえた時に、互いに連絡先を知らせることもなく、新宿駅で別れてしまったという。

「浩二は軽い気持ちで私を誘ったんだろうから、忘れなきゃって思ったのね。でも、結局忘れられなくて、つきあっていた恋人とは別れたんです。それから毎日、浩二を探し歩きました。どこのホテルで働いているかはわからなかったので、新宿中のホテルをしらみつぶしにまわったんです。従業員の人にも"浩二って人いませんか?"って聞きながらね」

有名ホテルの前でバッタリ浩二さんと再開したのは、初めて会った日から3週間経った日のことだった。沙耶香さんの猛プッシュに押されるカタチで、浩二さんは沙耶香さんのワンルームマンションに引っ越してきた。バッグ1個の手荷物だけを持って。

 続く>>

 

【プロフィール】
安藤房子(あんどう ふさこ)
ハート・ジャンクションを主宰。恋や心理学をテーマに雑誌やテレビ番組の企画、編集を手がける。
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