□安藤房子がこの本を書いたわけ□
「最近、元彼とセックスしてるんです。恋愛感情はまったくないんですけど」
そんな声をよく聞くようになったのは、今から三年ほど前のことだった。声を寄せてくれたのは、私が主宰している恋愛メールマガジンの読者の女性。最初は、それほど気にもとめなかったのだが、同様の声が次第に寄せられるようになり、もしかしてこれは、最近のセックスの傾向なのではないか……そう思うようになった。
「夫はいるのですが、最近よく元彼とセックスをしているんです」
「同窓会で昔の男友だちと再会し、それから二人でセックスを楽しんでいます」
インターネットでリサーチをかけてみると、そんな声が意外にも多く届いたのだ。
あまりに多かったので、あるとき、友だちの女性たちに聞いてみた。
「ねえ、元彼や男友だちとセックスするのってどう思う? 抵抗あるよね?」
すると、
「え? 私もしているよ。でもね、いわゆるセックスフレンドとは違うのよ」
一緒に食事をしていた女性の多くが、そう言ったのだ。彼女たちが言うには、「セックスフレンドとは、セックスをするだけの相手」なのだそうだ。あまり会話のコミュニケーションを楽しんだりもしない。会ってセックスをするだけの相手のことを指すのだそうだ。しかし、彼女たちと元彼・男友だちとの間には、友情のような親密さがあり、お互いの心のうちを話したりもする。だから、いわゆるセックスフレンドとは違うと言うのだ。彼女たちの話をまとめると左記のようになる。
お互いが会いたいときに会い、セックスをする関係。
セックス相手である元彼や男友だちに恋愛感情を持っているわけではない。よって、恋人ではない。
お互いのことをある程度知っているから安心感がある。つまり、わりきった関係のセックスフレンドとはまた違う、親しい間柄。よって、元彼や男友だちは、セックスフレンドでもない。
家族のような、同性の友達のような親しい関係。友達と握手をする感覚でセックスをできる相手。
つまり、一見、周囲からは
「それって、セックスフレンドと一緒なんじゃないの?」
とも見える関係なのだが、本人たちは
「そうではない」
と思っている。彼女たちの話を聞きながら、私も、たしかに、セックスフレンドとは違うのかもしれないと思うようになっていった。
しかし、彼女たちのセックスに対する感覚が、私にはとても不思議だった。
それは多分、私自身に、元彼や男友だちとセックスをする習慣がないからかもしれない。潔癖な人を気取っているように感じられるかもしれないが、別にそういうわけではない。
私も、元彼や男友だちと二人で会って飲んだりするのは好きだ。時間を忘れて気づくと朝まで、なんてこともしばしばである。しかし、私にとって彼らは、家族や旧友のような存在である。それ以上には決してなり得ない。そういう欲望はわきようがないのだ。
しかし、そうではない女性たちがたくさんいる。そのことに、私はとても興味を持った。
なぜ、彼女たちは、恋愛感情のない元彼や昔の男友だちとセックスをするのか。
そして、その相手を「いわゆるセックスフレンドとはちょっと違うのよ」と言うのか。
元彼や昔の男友だちとのセックス。それって、なんとなく、一度は捨てたモノをリサイクルしているみたい…。そう思いながら、私は、元彼や昔の男友だちとのセックスを「リサイクル・セックス」と名付け、リサイクル・セックスに走る女性たちを、取材し続けた。取材結果の一部を、雑誌「ダカーポ」や「フラッシュ」誌上で発表し、「女性セブン」誌上でもコメントさせていただいた。
その後もたくさんの女性たちを取材しながら、彼女たちがなぜ、新しい恋をしないで元彼や昔の男友だちと会い続けるのかが、少しずつ見えてきた。
リサイクル・セックスに走る女性たちは、その生活を楽しんでいるようでいて、実は、心の奥底に深い悩みやコンプレックスをたくさん抱えていた。単純に「快楽を楽しみたいだけなの」という女性もいたが、よくよく話を聞いてみると、男が風俗店に通い、リフレッシュしている感覚とは、どこか違うのである。
リサイクル・セックスにはメリットとデメリットがあると思う。しかし私は、デメリットのほうが大きいと思う。多くの女性たちは、リサイクル・セックスに走ることによって、本当に好きな人との恋愛ができなくなってしまっているのだ。そして、苦しんでいる。
ならば、リサイクル・セックスを止めればいいのではと思うのだが、それがなかなかできずにいる。リサイクル・セックスをすることによってもたらされる、とりあえずの満足感を捨てられずにいるのだ。本当に好きな人との恋愛・セックスを直視することを恐れているのだ。本当に欲しいモノに目を向け、それをもしも手に入れられずに傷ついてしまったらと、恐れているのだ。
だから、結局は、リサイクル・セックスを捨てられず、どんどん恋愛しにくい体質になっていってしまい、苦しんでしまう……。
そこで、そんな女性たちの生の声と、リサイクル・セックスを脱するためのノウハウを一冊にまとめてみた。
この本を手にとってくれたあなたもまた、リサイクル・セックスに走り、苦しんでいるのだろうか。自分の本当の願いをかなえられずに苦しんでいるのだろうか。
もしもそうだとしたら……。ぜひ、この本を読んでみてください。そして、苦しみから脱け出してください。本当に好きな人との関係を、あなたがこれから大切にしていくことができたら、私も嬉しいです。
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